ビフォーアフター
Ⅰ. リフォーム開始
ついに始まった内装&外観のリフォーム。
ペトロフの魅力とチェコ共和国の文化を発信する拠点として大きな一歩を踏み出しました。
店舗は18坪の小規模な物件。さらには昭和の匂いを感じさせる古めかしい造作。
はたしてどこまでサロンとして再生できるのでしょうか。
弊社が今回リフォームを依頼した会社は株式会社リフォームキュー様。
こちらの悩みや要望に対してフレキシブルに対応して下さる頼もしいパートナーです。
まずは既存の内装の解体、それによって生じる木片等の廃棄作業。
店舗物件はコンクリート打設のスケルトン状態で引き渡すことが一般的だそうです。
しかし、中途半端にフローリングが残っていたために作業がやや難航したようで、
職人さんには苦労をおかけしました。
そして次に電気工事の為の配線、吊ボルト固定、空調の冷媒管の配管。
3メートルを超える天井には、それまでの蛍光灯に代えて、ダクトレールを設置。
スポットライトを取り付けてショールームの雰囲気を演出します。
Ⅱ. 床、壁、天井の増し貼り&エアコン設置
床は平面性を出してフローリングをきれいに敷けるようにします。
壁はコンクリートのため、板を下地に一枚貼ることで壁紙の接着が安定。
そして天井にも増し貼り。ここにはLEDのダウンライトをはめ込みます。
こうした作業を経て、
埋め込み式のエアコンが無事に取り付け完了しました。
デリケートな楽器を扱うこともあって、選んだエアコンは業務用5馬力。
ピアノ店にとって温度湿度の管理はとても大切なこと。
試弾するお客様のためにも良好なコンディションで楽器を保たなくてはなりません。
(理想は温度20~25度、湿度50%と言われています)
プレップアップしたピアノを維持するのも、目に見えぬところで結構大変なのです。
Ⅲ. 壁の下地&コンセント
壁、天井の増し貼りが終わりました。
ようやく壁紙やフローリングを貼るための土台が整ったことになります。
原状の内装がリセットされて、新たな色に染めていくワクワク感に駆り立てられます。
コンセントもすでに設置済み。
壁がコンクリートだと難しいですが、板を一枚貼ったことで可能に。
これで梅雨の時分には除湿器を、乾燥する冬場には加湿器を使うことが出来ます。
弊社ではお客様に納めるピアノを自分の子供のように大事に育てていきます。
Ⅲ. フローリング&壁紙工事
床には、淡い色合いのオーク地フローリング材を使用。
マホガニーやウォルナットといった、ペトロフ特有のカラフルな木目を引き立てます。
そして今回の内装で一番悩んだのが、壁紙の選択。
どうすれば“チェコらしさ”をお客様に満喫して貰えるだろうか。それが課題でした。
首都プラハやペトロフの地元フラデツ・クラローベの街並みをレンガ柄の壁紙で再現するか。
あるいは、店舗やホテルの内外に使われていた穏やかなクリーム色を採用するか。
最終的に選んだのは、やや黄味を帯びた色調の壁紙。
柄ではなく、カラーでチェコのイメージを演出することにしました。
写真は落ち着いた印象ですが、実際にはもっと明るく楽しい色です。
これならば黒いピアノはもちろん、美しい木目ピアノもきっと映えるでしょう。
見た目にも、冬場は暖かく、夏場は涼しげに体感して頂けると思います。
お客様にとって、ピアノは一生に一度あるかないかの買い物。
“楽しい思い出”として記憶に残るような、そんなサポートが出来たらと常に考えています。
異国情緒を漂わせながらもアットホームな雰囲気で、どこよりも過ごしやすいピアノ店を目指します。
Ⅳ. 外灯&照明
左はペトロフ社が紹介してくれたプラハのホテル。日本人には勇気のいる斬新な色使いですね。
観光名所カレル橋に程近い好立地ながら、とてもリーズナブルな価格で泊まれます。
見てもらいたいのは、写真中央の赤丸で囲った部分。
このような形状の外灯を、街のあちこちで見かけたのが印象に残りました。
そこで今回のショールームにも使いたいと思い、リフォーム業者さんに相談したところ・・・
しっかり探し出して頂きました。さすがはプロです。
モノはイタリア製、ムードがあって一目で気に入りました。
ヨーロッパの伝統あるピアノですから、それに合わせた造作も大切ですよね。
これで外壁をきれいに塗装すれば、より格調が出てくるように思います。
外の灯りが決まれば、店内の照明。
3メートルを超える店内奥には、ダクトレールを4本渡してスポットライトを設置。
ショールームらしい雰囲気の中、ピアノを試弾が出来るようにご用意しました。
このエリアにはグランドピアノを3台並べます。
そして手前にはLEDのダウンライトを埋め込みました。
こちらにはカラー、デザインの異なるアップライトピアノを4台ほど展示する予定。
取り付けた後は、職人さんが天井に馴染むように塗装してくれました。
サロンが出来るまで、こうした裏方さんの存在があることを忘れてはなりません。
Ⅴ. 備品の準備
残すリフォームは、カーテン取付と外装の塗装作業となりました。
その間にも電話、複合機、什器などを納入しています。
中でも特筆すべきは、除湿機。
大切なピアノを湿気から守るための必需アイテムとなります。
今回導入したのは、設定した湿度を維持してくれるコンプレッサー式モデル。
入力した湿度数に達すると自動的に運転が停止するので手間がかかりません。
これで室内の湿度を良好に保つことが出来ます。
さらに店の空気感を作る上で欠かせないのが、こちらの「もぐらくん」。
チェコの国民的アニメキャラクター「クルテク(チェコ語でもぐらの意)といって、
現地の人達に愛されるマスコットです。日本でいえば「ドラえもん」のような扱いですね。
その昔日本でも「もぐらのクルテク」というタイトルで絵本やテレビ放送で親しまれ、
若い女性から大人の方まで、何気に根強いファンが存在する隠れた人気者。
そんな愛嬌たっぷりのクルテクとペトロフピアノで、店内をチェコ色に染めていきます。
Ⅵ. デバン作業
この日はデバンニング、コンテナから荷物を取り出す作業に立ち会いです。
昔ピアノは木枠に梱包されて輸入されていましたが、最近は段ボールが使用されています。
ペトロフは工場のあるフラデツ・クラローベで1台ずつ慎重にコンテナに詰められ、
移動中は開扉されることなく日本の港まで運ばれてきます。
そのピアノを手際よく次々とコンテナから取り出していく現場のスタッフさん。
まるで手で扱うように、いとも容易くフォークリフトを操る仕事ぶりに驚きです。
これこそ職人技ですね。スピーディで正確、日本人の器用さを垣間見ました。
こうして輸入したピアノは全て倉庫に納まりました。あとはサロンへの入荷を待つのみ。
将来あなたのピアノとなるペトロフが、もしかしたらこの中に眠っているかもしれません。
Ⅶ. カーテン&ロールスクリーン取り付け
天井高が3mを超えているため、ヨーロッパのサロンのような豊かな響きを選られる反面、
室内での内装業者さんとの会話すらエコーがかかっていました。
幸いにも防音カーテンを取り付けることで残響が劇的に緩和。
壁面の素材が替わるだけで音響は如実に変化すると改めて認識しました。
そして正面の広いショーウィンドウには部分的に遮熱ロールスクリーンをチョイス。
日差しに応じて、あるいはお客様が外を気にされぬよう上下の調整が可能です。
画像に映り込んでいるバスケットはお客様に荷物を置いて貰うためのモノ。
こうした配慮はオシャレな飲食店などで、もはや当たり前に行われているサービス。
より快適な店づくりのために、今後も他業種の良い点をどんどん取り入れていきます。
Ⅷ. ペトロフピアノとテーブル&チェア入荷
展示するのはアップライトピアノ4台とグランドピアノ3台。
ペトロフならではのカラフルで温かい木目のピアノを揃えています。
アップライトピアノ
P118P1 ビーチ艶消 スマートなデザイン、モダンな雰囲気が漂うカラー。
P118D1 チェリー艶消 エッジが効いた猫足、木目の美しさが楽しめます。
P118C1 ウォルナット艶消 クラシカルな装飾、職人の技が光るモデルです。
P125F1 マホガニー艶出 気品あふれる赤い木目。部屋に彩りを添えます。
グランドピアノ
P159Bora ウォルナット艶出 小型ながら滑らかなタッチのコンパクトモデル。
PⅣ マホガニー艶出 シンプルな音響設計、木の温かい響きがとても印象的。
P194Storm 黒艶出 圧倒的なサウンド。サロンコンサートに使用を検討中です。
店に入れたばかりのピアノは調律も調整もバラバラ。
これから手を入れることでどのような楽器に仕上がるのか、期待は膨らむばかりです。
そしてアップライトピアノと一緒に写真に映っているダイニングテーブル&チェアは
福岡県の老舗家具メーカー辻製作所さんのHANNEというモデルです。
無垢材の存在感、そして遊び心あふれる木目がペトロフの個性にピッタリ。
「同じものを長く大切に使いたい人へ」というポリシーに共感を覚えて直ぐに発注、
一か月の期間をかけて、しっかりと良いモノを作って頂きました。
工学的に設計されたチェアは座り心地も快適。お客様にくつろぎを提供いたします。
Ⅸ. 告知
まだピアノが入荷する前のこと、ご近所の方によく尋ねられたのが
「何屋さんが出来るんですか?」 ・・・うかつにも告知を忘れていました。
そこでお手製ながら弊社のコンセプトを印刷した張り紙を思い切ってウィンドウに。
音楽と | チェコ | 文化を |
届ける | ピアノ | のお店 |
白金台 | に誕生 | します。 |
行きかう人にジロジロ見られ、どこか恥ずかしさを覚えつつも効果はテキメン。
ここから地元の方々との交流が始まりました。
ヴァイオリニスト、ピアニスト、声楽の先生、音楽愛好家、そしてチェコの方もご来店。
知人を紹介して下さったり、手伝いを申し出て下さったり、宣伝のアドバイスを頂いたり、
そんな協力的な人達に支えながら準備の日々が過ぎていきます。
文化的・音楽的かつ下町の情緒も持ち合わせている港区白金台エリア。
地域に愛される音楽空間を皆様とともに作っていくのが弊社の目標です。
Ⅹ. サポートアイテム
Ⅺ. サイン(看板)工事
今回は外から皆様にピアノ店と認知して頂くために大切なモノ。
そう、看板の工事です。
ウィンドウに紙で貼った自作の広告は、グラフィックが届くまでのつなぎ。
このデザインについては、ペトロフ本社に催促して画質の良いイラストを送って貰ったり、
それを上手く合成するようリフォーム会社さんにお願いをしたりと、皆様に頑張って頂きました。
結果、ペトロフ社のロゴ&ピアノの画を優先して、チェコの国旗、国章を加えることに。
情報を詰め込み過ぎず、シンプルながらインパクトのあるグラフィックが仕上がりました。
ガラスに貼る作業は、看板職人さんがシートの裏側とガラス面に水を吹き付けて手際よく接着。
今は簡便な手段がよく考えられているものだなと感心しました。
そして店頭に停めている営業車にもシール貼り付け。
こちらもリフォーム業者さんにデザイン制作して貰いました。
仕事用のありきたりな車から、少し高級な雰囲気が出たような気がしません?
これでペトロフピアノ専門サロンとしての店構えがほぼ整いました。
あとは興味をもたれたお客様が気軽に店内に入れるような演出ですね。
次回でこのレポートも最終回を迎えます。
Ⅺ. リフォーム完了、そして始動
この店舗にたどり着く過程から振り返りますと、喜びもひとしおですね。
良き物件を懸命に探して頂いたAZ plus(アズプラス)様には非常に感謝しております。
外壁はきれいに白く塗り直しました。こだわった外灯とブラウンの戸枠が映えます。
さらにイーゼル&ブラックボードで少しカジュアルな雰囲気を演出。
不慣れながらも、コメントとイラストを自ら描いてみました。
ペトロフピアノの故郷、チェコ共和国の首都プラハは音楽の都。
カフェやバーでも小さな演奏会が催され、もはや音楽は生活の一部といった印象です。
その雰囲気を弊社のショールームでも再現出来たらと考えています。
ヨーロッパ製ピアノだからと極端に畏まらず、もっと誰もが気軽に楽しめるように。
クラシックもジャズも、一部の大人のための音楽ではなく子供でも親しめるように。
それがペトロフピアノとこのスペースを通じて皆様にお伝えしたいメッセージです。
これでリフォームはいったん完了ですが、まだ「場所をプレップ(用意)した段階」。
ここから先はお客様と一緒に想いを形にしていくことになります。
ピアノプレップは、さらに進化する余地のある、様々な可能性を秘めたショールーム。
音楽を愛する皆様からのご意見、ご要望、ご協力をお待ちしております。